本当は印刷っていう仕事が好きです。
白状します。
本当は印刷業が好きです。
印刷業というより、販促物全般を「製作」することが好きです。
ただのチラシやパンフレットから始まり、紙什器、樹脂のテスター、金物の展示台、いろいろお仕事をいただいた。
制作だけのデータ納品の仕事もあった。
印刷屋は紙に何か絵柄を刷っているだけではなく、上記にあるような販促品を取り扱うことも多く、部門や会社によっては売り上げの殆どが紙ではないところもある。
こういう仕事は儲かったし、苦労も多く面倒だが仕上がったときはやはり嬉しかったと思う。
製造業の醍醐味だろう。
いつしかこの業界はサービス業のようになってしまった。
この表現は語弊があるかもしれない。
「無償サービス」をするような業界になってしまった、が正しいのだろう。
「ちょっとここの文字修正しといてよ」
「PDFに変換したデータもらえる?」
「画像差し替えといてもらえるかな」
こういうのってすべて本来はお金を取れる作業であり、このために人が数名動くわけだ。
価格に転嫁する努力を我々のような業界に住まう人々が怠った。
競争に勝てないから、というのは言い訳なのかもしれない。
このような作業に対しお金がいただけないということは、作業を行う人々の残業代が払えなくなり、サービス残業を強いるということなのだろう。
確かに印刷業界の経営者は無能な連中が多い。
でも、そこで働く人々も、私を含めてバカばっかりの世界になってしまったんだよ。
かつてメディアの王者だった。花形と言われた時代もあったそうだ。
そういう時代に生きていたらもう少し変わったのかな、と妄想することが多くなった。
他業界に行くことの不安が、印刷業に対する期待と裏腹な感じがしてならない。